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グループホームと宅老所

 介護保険がスタートして約3年半になります。介護施設、デイサービス等多数の方が利用されていると思います。そこで最近増加してきた宅老所、特にグループホームについて少し説明したいと思います。

 2003年の時点で、日本には約170万人もの痴呆性高齢者がいると推計されています。しかし、高齢者の福祉の対策で、最も遅れているのが痴呆対策です。そうした中から、注目を集めているのがグループホームです。5人から9人程度の初期から中期のお年よりが介護スタッフとともに共同生活をする自宅でもなく大規模な施設や病院でもない家庭的な「第二の住まい」です。

 痴呆になると新しい記憶は失いますが、昔からの得意分野の能力などは残っています。単に大事にお世話するという次元のケアではなく、痴呆性のもてる能力を発揮してもらいスタッフの手助けにより可能な範囲で家事や趣味を楽しむという「生活リハビリ」中心の自立支援的ケアを行います。そうする事により痴呆症状が穏やかになり、痴呆の進行が遅くなることがわかってきました。逆に何もさせないでおくと、ますます症状は悪化します。つまり痴呆を完全に直すことは残念ながらできませんが、グループホームにおける適切なケアがあれば、記憶障害があってもその人らしく穏やかに暮すことは可能です。

 介護保険スタート時300カ所程度であったグループホーム数は現在では約10倍の2700ヵ所と急増しています。また宅老所も1300ヵ所を越えると推定されています。

 宅老所は、お年寄りが使いやすいようにトイレやお風呂を改造したり、スロープや手すりをつけるなど民家を改造し介護を必要とするお年寄りの日中の「たまり場」としたものです。デイサービスが主体であるものの短期間泊まれたりすることができるところです。グループホームのように要介護1以上という制限はありません。このため痴呆症でないお年寄りも利用できるのです。

 最後に費用のことですが特別養護老人ホームの自己負担は介護費用の1割と日用品などで月に5〜7万円程度ですが、グループホームは在宅サービスのため住宅サービスのため住宅費食費などの自己負担も多く10万円以上必要とするところが多いようです。詳しくは、かかりつけ医に相談すると良いアドバイスをしてもらえると思います。

( 西野 仁  )