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日常生活におけるパソコン利用の健康課題

▼はじめに

 ユビキタスネットワーク(いつでもどこにでもつながる)時代の到来が間近に迫る中、パソコン(以下PC)をはじめとするコンピューター機器の日常生活への浸透は目覚ましいものがあります。このような状況で見過ごされやすいのがPC利用時の健康課題で、誤解や油断がつきまといがちです。

▼電磁波について

 PCの表示操置などからの電磁波暴露によって健康障害が引き起こされるという証拠は現段階では得られておらず、過度に心配する必要はありません。例えば、ブラウン菅で発生するX線は前面ガラスが十分厚いのでほぼ完全に吸収され、わずかに放射される紫外線についても冬場の窓越しの紫外線よりはるかに少ないとされています(産業衛生学雑誌)。

▼高齢者のPC作業

 加齢にともない眼の調節力(焦点あわせ)機能低下が進行し、遠近両用眼鏡を使用する老眼(いわゆる老眼)の方も多くなります。PC利用時に近用眼鏡を使用した場合、遠近両用眼鏡の使用に比べて首の上下運動範囲が小さい傾向を認めるとの報告があります(産業医学レビュー)。老視の方については、PC作業用に近用眼鏡を新たに調節することも、作業に伴う筋骨格系および視覚系の負担軽減への一筋となる可能性があります。

▼低年齢層のPC作業

 児童、生徒にもPC利用時の筋骨格系および視覚系の負担増大が指摘されており、大人用に統計されたPC関連機器(机、いす、キーボードなど)の使用に一因があるとされています。現在すぐに実行できる対策としては、ウエブ上に公開されているオレゴン州職業安全衛生局「小学校でのコンピューター利用の人間工学」が挙げられ、この日本語版(日本人間工学会http://plaza14.mbn.or.jp/〜yoshi-take/cergos/cergos.html)が参考になります。

▼むすび

 労働現場と異なり、家庭などではPC利用に関する規制がありません。既に述べたように電磁波については過度の心配は不要ですが、視環境や作業姿勢は長時間の使用に耐えがたい場合も多いと言えます。今一度、皆さんのPCまわりの点検をおすすめします。

( 昇 淳一郎  )