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一過性脳虚血発作について

 これまでに一時的に手足のしびれを感じたことはありませんか?“一時的に”とは、急速に症状が出て、24時間以内(多くは数分以内)で症状が全く消失するということです。“手足しびれ”の症状として手では、物を落としたり、字が書けなかったり、包丁が上手に使えなかったりすることです。足では、急に膝の力が抜けるように感じたり、スリッパが自然と足から落ちたり、少しの段差にもつまずきそうになることです。このような手足の運動障害の他に、物に触れた感覚が左右違ったり、お風呂のお湯の熱さがわからなかったりなどの感覚障害の場合もあります。また、視野の半分が見えにくく感じたり、物が二重に見えたりするような目の症状や、言葉がしゃべりにくかったり、数字がわからなくなることもあります。これらの症状が一時的に出現した時、まず一過性脳虚血発作を疑わなければなりません。

 一過性脳虚血発作は、小さな血液の固まりが、頭蓋内や頚部にある動脈の狭くなった部位か、あるいは心疾患のために心臓内で作られ、血流に乗って運ばれて末梢の小動脈を閉塞すると、様々な症状が見られます。しかし、その血液の固まりが辛いにもすぐに小さくなり血液の流れが再開通したことで大事に至らなかったと考えられています。従って、一過性脳虚血発作をそのまま放置しておきますと、近い将来3分の1の人が脳梗塞(脳血管が閉塞し神経症状を起こす病気)になってしまうと言われています。

 脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血(脳動脈瘤破裂)などの脳卒中は、わが国の死因順位において、悪性新生物に続いて、心疾患と2・3位を占める重要な病気であり、年間約12万人が亡くなっています。このような脳卒中の予防には、高血圧症・糖尿病・高脂血症・禁煙・心疾患・肥満などの危険因子(生活習慣病)の予防と治療が最も重要であることは言うまでもありません。そして、脳梗塞の前兆とも言うべき一過性虚血発作を、見過ごさないように充分に気をつけて、もし、疑ったら早めに診察を受けるよう心掛けましょう。

 両手を真直ぐ前に伸ばし、前習いの格好をして眼を閉じて下さい。そして、しばらくして静かに眼を開けてください。右手か左手かどちらかの手が下がっていませんか?これは、軽い麻痺症状を見つける方法です・・・。

( 中野 敬  )