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パーキンソン病〜手足が震え、動作が遅くなる病気〜

 

 誰しも年をとってきますと、若いときに比べて動作はゆっくりなってきますし、多少ふるえることもあります。これも程度の問題で、日常生活が困難になっては困ります。働き盛りの壮年期にそのような症状の出る方もいます。

 1817年、ロンドンの医師、ジェームス・パーキンソン先生はそのようなふるえがおこり、動作がおそくなる患者さんたちのくわしい観察を行い論文にまとめ、後にパーキンソン病といわれるようになりました。

 パーキンソン病の方には手足がふるえ、動作が遅くなり、筋肉が硬くなってうまく動作ができにくいなどの症状が見られます。病気は50歳代から60歳代に多くおこり、症状はいつからともなく始まり、ゆっくりと進行します。

 脳の病気ではありますが、物忘れや認知症の症状はほとんどなく、運動機能の低下が主に見られます。ふるえは片方の手からはじまり、安静時に見られ指先で小さな玉を丸めるような運動で、丸薬丸め運動とも呼ばれます。動作も緩慢になり、歩行もゆっくりで、特に寝た状態から起き上がるまでの時間がずいぶんかかります。歩行は小刻みで、前かがみの姿勢が特徴的です。最初の一歩が出にくいこともよく見られます。声は小声になり、表情もとぼしくみえます。

 最近の医学の発達により、パーキンソン病に有効な薬がたくさん出てきました。薬を飲むと多くの方がふるえが止まり、動きがスムーズになります。歩くことができなかった方が、歩けるようになることもあります。リハビリテーションも重要です。一部の患者さんには脳外科的な手術が有効になることもあります。老化に伴う疾患は治りにくいものが多いのですが、パーキンソン病はさまざまな治療法が確立されて治療可能な病気です。単に長生きを目指すのではなく、健康な質の高い老後の生活を送りたいものです。

( 池川 真一 )