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ソーシャルサポート −こころをささえる−

 強いストレスにさらされて、親しい人にさえ自分の考えを打ち明けられない。そんな人もいるかもしれません。しかし、誰にも相談できない状況に思えても、実は社会の中には様々なサポートがあるのです。

 孔子は論語の中で、生涯行うべきものを一字で表すと「恕(思いやり)」であると答えています。昨今の厳しい社会情勢を考えると、この思いやりは現代社会でも正に必要とされているといえます。人は、思いやりに支えられて生活を営んでいます。お父さん、お母さん、お兄さん、お姉さん、弟、妹、おじいさん、おばあさん、親戚、友だち、先生、先輩、後輩、同級生、上司、部下、近所の人、お客さんなど、様々な人が私たちの周りを取り巻いて、お互いに支え合っており、これらの個人を取り巻く様々な人からの支援をソーシャルサポートといいます。同じストレスにさらされていても、ソーシャルサポートのある人の方がない人に比べてストレスの影響が少ない(ソーシャルサポートの直接効果)とされています。

 ただし、サポートといっても、必ずしも親しい人からの支援ばかりが求められているのではありません。支援が必要な時に親しく相談できる人がいなくても、公共機関や各種団体などに設置されている様々な窓口を利用するだけでも構いません。新聞や雑誌など各種媒体への投書も良い方法です。超多忙人気司会者が番組の中で直接答える電話相談も、広い意味でのソーシャルサポートです。つまり、親しい人などの特定の人間関係がなくても、社会的な支援の枠組みは周囲にいくらでもあるものです。

 もしもあなたが強いストレスにさらされるなど、こころの不調を感じるならば、ソーシャルサポートは非常に力強い助けとなります。今一度、皆さんを取り巻く人々や組織などを再認識してはいかがでしょうか。

( 昇 淳一郎 )