東温市医師会

ホーム > ドクターの健康百科 > 聞こえていますか?

小児の胃腸炎の家庭での対応について

 子どもさんが急に吐き出して水分も取らずにぐったりとなった状態を起こす病気はいろいろありますが、何回も嘔吐をきたす場合は緊急性を要する病気の可能性がありますので早期に病院に受診した方が良いでしょう。

 最近よくマスコミなどに取り上げられるノロウイルスが原因となった感冒性胃腸炎は、風邪による嘔吐下痢症とも言われ、免疫がなければ感染しますので頻回の嘔吐、下痢で困られた方は多いでしょう。またノロウイルスというウイルスは一種類ではないため繰り返しかかる場合もあります。

 感冒性胃腸炎の病初期は嘔吐がとても頻回でなかなか水分をとれませんが、数時間過ぎますと嘔吐が減ってきます。下痢があとから起こり水分、食事を取るとすぐに水様便が頻回に出るので、子どもさんを連れて来られた保護者の方から、吐くことがひどいとか下痢がひどかったので水分を与えないで様子をみましたと言われることがあります。子どもは水分特に糖分を含んだ水分が必ず必要で少しずつでも口に含めるなら、一さじずつの少量ずつでいいので吐いてもイオン飲料水などの水分補給をして下さい。お茶や水だけでは不十分です。水分を取って吐かなくなったら、どんなに下痢がひどくてもデンプン類を取ることは最低限必要です。

 まだ消化吸収の機能が完全に戻っていないのでデンプン類などを取ると腸の動きが亢進して下痢がひどくなったようにみえ、腹痛がひどくなるかもしれません。以前は嘔吐下痢症の際にはしばらくは絶食絶飲にしてから少しずつ水分を与えて、おかゆなど消化に良い物から順に食事を始めるようにしましょうと言われてきました。最近は食事については食べられるようになったらできるだけいろいろな栄養分を取る方がウイルスにより障害を受けた腸の回復を早めるのだという考えが主になってきて、食事制限をせずに豆腐や肉類、魚などのタンパク質や野菜類などを早期から摂取するように勧められております。

 病気に対する原因治療などの考え方は年々変化しており昔の常識が今は非常識になることがよくありますので、疑問点があればなんなりとご相談下さい。

(石川 純一 )