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生活習慣病と動脈硬化

 食の欧米化・肥満人口の増加等、生活習慣病に関する話題は連日の様にメディアを通じて私たちの耳に入ってきます特定いわゆるメタボ検診も4月より始まり、本格的な高齢化社会に突入した日本において予防医学の重要性が再認識されています。

 生活習慣病と一口に言っても、高血圧・糖尿病・高脂血症(昨年より脂質異常症と呼ぶようになりました)に始まり、喫煙習慣や肥満も生活習慣病の一つと考えられます。もちろんメタボリック症候群はその代表格です。

 これら生活習慣病そのものは、私たちの日常生活を直接脅かすものではありません。喫煙習慣による肺組織に対する悪影響や発がん作用を除いては、主に動脈硬化の進行を通じて私たちの生活、時に生命を脅かします。動脈硬化は私たち人間の老化現象の一つとも考えられますので、完全に避けて通ることは不可能です。一方で、生活習慣病により血管の老化現象が加速されると、心臓・脳を栄養する動脈が狭くなり、狭心症・心筋梗塞・脳梗塞などの重篤な病気を発症する危険性が高くなります。

生活習慣病の是正は動脈硬化の進行を抑制するうえで重要ですが、特に有病率が確実に増加している糖尿病に関しては、予備軍を含めると約1800万人との報告もあり、早期の介入が急務と考えられています。近年、欧米で行われた糖尿病患者を対象とした大規模な介入試験からは、一旦糖尿病が進行してしまうと、血糖値のコントロールだけでは狭心症・心筋梗塞・脳梗塞発症への予防効果は不十分と報告されています。要は、生活習慣病に対する早期介入の必要性の裏づけと考えられます。

現在、動脈硬化の状態を把握するため脈波測定・超音波検査など動脈の状態を評価する簡易検査が普及しています。これらの検査は現時点における動脈硬化の確認のみならず、一度発症した動脈硬化症の経過観察にも有用です。 飽食、ストレスの多い現代社会において、忍び寄る生活習慣病から自分を守ることは勿論ですが、一方で動脈硬化とうまく付き合い快適で楽しい日常生活を送っていただくことを祈念しています。

(舩田 淳一 )