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糖尿病の適切な早期治療と予防が、特に日本人では重要

 平成18年に行われた『国民健康・栄養調査』では、日本人で「糖尿病が強く疑われる人」は約820万人、「糖尿病の可能性を否定できない人」は約1870万人(合計:約1870万人)と概算されました。4年前に比べて約250万人も増加しています。しかし、糖尿病による死亡者数が年間1万人以上になる中で、治療を受けている患者さんは、約247万人に留まっているのです。

 我が国では、糖尿病の95%以上が2型糖尿病であり、完全な原因は不明ですが、『糖尿病になりやすい体質の人が、糖尿病になりやすいような生活習慣を送ることにより糖尿病になる』と考えられています。

 日本人の糖尿病は欧米人とはかなり違います。欧米人は、肉食や高脂肪食の習慣が大昔からあり、それに打ち勝つために、インスリンを出す能力が高く備わっています。一方で日本人は、和食・御飯といった低脂肪食を食べてきましたので、もともとインスリン分泌量が欧米人より少ないのです。従って日本人は、食生活が欧米化すると容易に糖尿病になり、膵臓も疲弊しやすいために、比較的早くからインスリンを出す能力がさらに低下するのです。この為、糖尿病の早期の適切な治療や、糖尿病の予防が欧米人以上に重要です。

 日本人は、肥満に入らないような軽度の体重の増加も糖尿病の危険因子です。また、過去の最大体重・成人してからの体重増加も糖尿病の危険因子とされています。

 食事で重要なのは、エネルギー摂取量のみならず、中身も重要です。トランス脂肪酸が低い・多価不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸比が高い・GI値が低い・食物繊維が多い食事が大切です。運動は、必ずしも強度を高める必要はなく、軽い運動でも時間が長ければ、同等の効果があるとされています。糖尿病やその予備軍の方は勿論のこと、どなたでもご遠慮なく、内科医・栄養士等にご相談下さい。

(小林 卓正)