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新型インフルエンザ対策としての事業継続計画

 1968年の香港型インフルエンザの大流行から40年が経過した現在、新型インフルエンザの出現が懸念される状況となっており、関連情報が各メディアを賑わせています。ひとたび新型インフルエンザの世界的大流行が起これば影響は甚大で、それを最小限に抑えるべく国、県、市などが中心となり重層的対策が検討されています。新型インフルエンザ大流行時には各種の社会的機能が混乱する可能性もあることから、公共の支援に頼るのみではなく、社会の各所において自助努力で乗り切る体制を構築することが求められています。

 百年に一度のレベルとされる世界同時不況の中、企業を始めとする組織はこれから先、様々な試練にさらされる可能性があり、どの組織も生き残りをかけて厳しい社会経済情勢の中を勝ち抜いて行かねばなりません。仮にこの世界同時不況下で新型インフルエンザの世界的大流行が発生すれば、企業などの組織が受けるダメージは計り知れません。

 どの組織も社会の中で一定の責任があり、各組織が正常に機能および存続してこそ、その社会的責任を果たすことができます。各組織では、感染の拡大源とならないことおよび社会機能維持の責任を果たすことなどが求められており、今年2月に改定された国の“新型インフルエンザ対策行動計画”をベースに、危機管理としての事業継続計画を整える必要があります。ただし、これは必ずしも難しく考えるべきではなく、「咳エチケット」、「手洗い」、「対人距離の保持」などの個人レベルで実施可能な取り組みとともに、「日勤者の交替勤務編成」、「在宅勤務」、「複数業務兼任可能な体制構築」など、多くの費用をかけずに確実な効果が期待できる取り組みを基本にすえて対応することが可能です。

 世界同時不況下に新型インフルエンザ対策としての事業継続計画を策定することは通常時以上に意義が高いと言えます。皆さんが所属する組織がそれぞれの社会的責任を果たすべく、以上の観点で各組織内の体制を点検してください。

(昇 淳一郎)