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椎体形成術について

 あまり耳慣れない言葉だと思います。骨粗鬆症に関連した椎体骨折で骨癒合がみられず、痛みなどが続く場合に行う手術方法の1つです。

 骨粗鬆症を背景とする骨折には、股関節、肩関節、手関節周辺の骨折があります。加えて、椎体骨折もその1つで、寝たきりの原因になります。65歳以上の人口が3000万人に近づいている我が国において、上記の骨折の増加が危惧されている所です。

 中でも椎体骨折を生じた場合、約90%の方は3ヶ月位で骨癒合がみられ、変形は残るものの痛みはなくなります。その反面、10%程度の方は骨癒合が遷延したり、最終的に骨癒合が得られず、痛みが続き、生活機能が著しく低下すると言われています。そのような場合に、痛みをとる方法の1つとして約10年位前から欧米で椎体形成術が盛んに行われるようになってきました。

 骨癒合の完成していない椎体に、骨セメントや人工骨などを入れ補強する方法です。本邦でも最近多くの施設で行われるようになってきています。今後の課題もありますが、低下した生活機能を改善させる有用な方法であると考えられています。

(光長 栄治)