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糖尿病について

 メタボリックシンドロームという言葉が一般的に知られるようになってきました。このメタボリックシンドロームは、内臓脂肪型肥満の事で、血圧・血糖・血性脂質が複数高値となった状態の事です。メタボリックシンドロームは、糖尿病の原因の約4割を占めるとも言われていますし、40歳以上の3分の1は、糖尿病もしくは予備軍とも言われています。

 糖尿病はT型糖尿病とU型糖尿病に分類され、T型糖尿病はインスリンが分泌されないタイプの糖尿病で、U型糖尿病はインスリンの作用の低下もしくは分泌の不足するタイプで、糖尿病の95%はこのU型糖尿病です。U型糖尿病の発症には遺伝的素因が深く関わっていますが、それと同じくらい、食べ過ぎ、運動不足などの生活習慣や、肥満・ストレスなどが発症の原因となって、やがて内臓脂肪型肥満となり、その脂肪細胞より分泌されるホルモンの影響でインスリン抵抗性が強くなり、インスリンの作用が低下したり分泌が減少して、血糖値が上昇し糖尿病が発症します。血糖値が高い状態が長時間続くと動脈硬化が進行し、様々な合併症が起こります。心筋梗塞・脳梗塞・腎臓が働かなくなる腎不全といった重篤な状態となります。糖尿病と診断されたら、血糖値をコントロールする為の治療が必要ですが、基本となる食事療法と運動療法で不十分な場合に、薬物療法を行ないます。薬物療法は、インスリンの分泌を促進させる血糖降下剤、小腸よりブドウ糖の吸収を遅らせ急激な血糖上昇を防ぐ薬剤、インスリン抵抗性改善薬等を組み合わせて治療されますが、最近では、小腸より分泌されるインクレチンというホルモンが、血糖降下作用があり治療薬に加わりました。このインクレチンは低血糖を起こしにくい治療薬なので、現在注目されています。糖尿病は明確な症状がない為、病気に気付くのが遅くなりがちなので、特に40歳以上の人は積極的に健康診断を受け、できるだけ早期の治療を開始して下さい。    

(西野 仁)