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幼少児期の歩行

 2歳すぎの子どもさんでよくO脚の訴えがある。この時期にO脚を呈する要因として、膝自体の内反が主たる原因であるが、いわゆる内股(内旋歩行)がO 脚の概観を助長する一因となっている。膝自体の内反(O 脚)は大腿骨と脛骨の骨端線(成長軟骨)の異常がなければ、かなり高度と思われても年齢と伴に改善していく。骨端線に異常があれば変形が強くなる可能性があるので治療が必要である。また内股を呈するものとして、股関節から内向きの場合(前捻の増大)、膝下(下腿)から内向きの場合(下腿の内捻)、足のみが内向き(内転足)の場合と、これらが重なっている場合がある。股関節の場合は膝が外に捻じれる角度(外旋)より内に捻じれる角度(内旋)が大きく、そのため膝と足が内に向きやすく、足を真っ直ぐ前にむけようとすると膝が外向きとなる。膝下(下腿)が内に捻じれている場合も足が内向きの場合も足を真っ直ぐしようとすると膝が外向きとなる。いわゆるヨチヨチ歩きの場合は膝を少し曲げて歩くため、またオムツをしているため左右の足の間隔が広くなり余計にO脚様の歩行となる。股関節前捻角が大きいだけで、下腿や足部の変形がなければO 脚となることはない。

 つま先歩き(尖足歩行)を主訴として受診される子どもさんは時々受診されるが(多くは麻痺を伴う)、麻痺を認めない子どもさんに習慣性尖足歩行というのがある。自然に軽快する子どもさんが多いが、時に装具などの治療を必要とすることがある。

 4、5歳以降で膝から大腿部に痛みを訴え、痛みが軽快しても跛行が持続する場合は股関節の病気(単純性股関節炎やペルテス病)の可能性がたかい。この時期には股関節部より大腿から膝にかけて痛みを訴えることが多いので、注意が必要である。

 幼少児期の歩行で気がかりなことがあれば、一度専門医を受診されることをお勧めする。

(中込 直)