東温市医師会

ホーム > ドクターの健康百科 > ライブハウス難聴

ライブハウス難聴

  ライブハウスはロックなどの生演奏(ライブ)を行う小ホールで、松山地区に10軒ほどあります。最近、ライブハウスでロックコンサートなどを楽しんだ後に耳鳴(みみなり)や、聞こえの異常を訴えて病院を受診される方がいます。殆どの患者さんが「ライブ中はスピーカーの前にいてうるさかった」「演奏が終わった時から耳がおかしかった」と言われます。聞こえの検査を行うと高音が聞こえにくくなっています。

  このように大きな音が原因で起こる難聴を音響外傷といい、特にロックコンサートなどで発症する場合をロック難聴ともいいます。音の振動で聞こえに大切な器官であるコルチ器が壊れたり麻痺するために発症します。さらに、難聴になると同時に耳鳴がするようになります。発症早期に治療を開始すれば治る患者さんも多いのですが、難聴や耳鳴が残ってしまう方もいます。ライブハウスで難聴にならないためにはロックコンサートなどの特に大きな音を出すライブを見るときにはスピーカーの近くに留まらないことが大切です。さらに自分にとって快適な音量に調整できるように耳栓を使うことも考えてもよいのではないでしょうか。

  ライブハウスに限らず、日常生活では大きな音を聞くことがあります。耳が痛くなるような大きな音は大きさで表せば約130デシベルで、ジェット機の音がこの大きさに相当します。この大きさの音を直接聞くと短時間でほぼすべての人が難聴になります。この様な大きな音でなくとも削岩機やチェーンソー、エンジン草刈り機などの音でも難聴になることがあります。これらの機械が出す音の大きさは100デシベル前後で、短時間の聴取では難聴になることはあまりありませんが、長期間にわたり繰り返して聞くと徐々に難聴が進行していきます。人との会話が聞き取りにくい程度の騒音環境下で仕事をする場合には、聞こえを守るためにも騒音防止用の耳栓やイヤーマフ(ヘッドホンの様なもの)などを面倒がらずに使用することが大切です。

(佐藤 英光)