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息切れについて

  息切れは日常診療でよくある症状です。特に異常がないこともありますが、治療が必要な病気が隠れていることがあり、注意が必要です。呼吸に関係している症状ですから、肺の病気を思い浮かべる方が多いかもしれません。例えば肺気腫、気管支喘息などがあります。また、貧血も進行すると息切れを生じます。精神的なものが原因のこともあり、過換気症候群などがあります。

  今回は心臓が原因の息切れについて述べたいと思います。代表的なものが心不全です。これは色々な原因で心臓の機能が低下したために、最初は労作時(動いたとき)に息切れを生じます。進行すると安静時にも症状が出現しますが、その時点では入院治療が必要になることも多いので、早期に診断し、適切な治療をすることが大切です。最近では薬物療法が進歩しており、コントロールができることも多くなっていますが、まだまだ怖い病気です。診断には心臓超音波検査が有用で、血液検査でBNPというホルモンを調べることも参考になります。

 その他の疾患としては、狭心症があります。狭心症とは、心臓を栄養している血管である冠動脈に動脈硬化が進み、狭窄ができる病気です。典型的な症状は労作時の胸部圧迫感(胸が重たい感じ)ですが、個人差が多く、息切れのみを言われることもあります。特に糖尿病がある場合には、症状があまりないことがありますが、症状の強さと病気の重さは必ずしも一致しないので注意が必要です。診断には心電図が有用ですが、安静時には正常な場合が多いため、運動負荷などをする必要があります。確定診断には心臓カテーテル検査を行い、狭窄が強い場合にはカテーテルを用いた治療(風船治療)を行います。

  息切れには色々な原因がありますが、心臓の病気が原因の場合も有効な治療法がありますので、早期に診断し、治療を開始することが重要になります。

(藤田 鉄平)