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島田療育センターを訪ねて

  本年5月10日日本重症心身障害福祉協会全国施設協議会が東京でありました。そのとき、施設見学ツアーがあり、島田療育センターを見学しました。そのとき、大変印象的だったのは島田療育センターの心温まるおもてなしでした。

  新宿から多摩市までバスで移動したのですが、バスの中ではビデオを交え簡単な施設の概要説明と設立当時現在の施設が東京とは思えないほど田舎であったことなどの説明がありました。そしてセンターについて最初に会議室に案内されました。そのとき、驚いたのは各人の座る場所に小さな鉢に入れられた花が飾られており、手作りと思われる紙の小さなバスケットにクッキーが入れられ、お茶が用意されていました。その下敷きの紙には短い歓迎のメッセージが書かれていました。それだけで、何かこちらが幸せな気分になれました。その後参加者はいくつかのグループに分かれスタッフに案内していただきました。どこの部署でもスタッフの笑顔や色々な療育の工夫がみられました。重症心身障害児は自らの意思表示が弱い分だけ、スタッフには当事者が発するわずかなメッセージをキャッチする感性が求められますが、こんな豊かな感性をもつスタッフに囲まれた利用者さんはきっと幸せだろうと思いました。

  この島田療育センターは日本における重症心身障害児療育のパイオニアです。設立の詳しい経緯は最近出版された「愛することからはじめよう―小林提樹と島田療育園の歩み」という本に書かれています。著者は小沢 浩先生で診療が終わってから毎日過去の資料を調べ書き上げたと聞きました。大変すばらしい本です。ぜひご一読ください。

(森本   武彦)