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医療現場における放射線科医の役割

  今回は皆様にあまり馴染みが無いであろう、放射線科(画像診断)について、医療現場においてどのような役割を担っているのかを理解いただけたらと思い説明させていただきます。

  まず、画像診断というのは、レントゲンやCT、MRIなど様々な画像撮影機器で撮影される画像を見て、異常を見つけます。とは言っても、ただ、そういったのみではなく、まずは患者様の訴えからある程度の病態を想定した上で、画像の異常所見を見つける作業に入ります。異常所見が見つかれば画像所見を基盤に患者様の訴えや他の検査所見と合わせて、病態を解明していきます。

  なぜそのように見えているのか、体の中でどのような事態が起きているのか、その病態までを考えることが必要で、そうすることで一見、別々に存在している複数の画像所見が、実は1つの病態に関連していることに気づくことがよくあります。

  また、放射線科のもう一つの魅力的な診療に血管内治療(Interventional Radiology;IVR)という分野があります。レントゲンや血管造影像、超音波、またはCTを見ながら、カテーテルや針を用いて外科的手術なしで、可能な限り身体に傷を残さずに病気を治療する方法です。閉塞した血管や胆管を拡張させたり、出血した血管を塞栓したり、悪性腫瘍の栄養血管を塞栓したり、様々な治療を行います。低侵襲なので、患者様には非常に感謝される手技で放射線科医の醍醐味の1つでもあります。

  放射線科と聞くと、臨床の現場から一線をおいている印象もあるかもしれません。しかし、前述したように、常に臨床と密接したものなのです。また、現代医療において、あらゆる臓器の病気を正しく診断し、適切な治療を行うためには、画像診断が必須であり、そのために各施設、各診療科との連携を密にとって、効率的で質の高い医療を実践する必要があります。今回の会報を読んでいただき、より身近な科であると、皆様の印象が変われば幸いです。

(山本   卓)