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子どもの体を柔らかくするストレッチ

  発育期にスポーツをしている子どもが腰痛で外来を受診すると、共通しているのは、「体が硬い」ということです。特に「ハムストリングス」が硬い子どもが多いのが目立ちます。「ハムストリングス」とは人間の下肢後面を作る筋肉の総称で、アスリートが肉離れを起こしやすい部位としても有名な筋群です。受診した子どものほとんどは、立位体前屈を行ったときに指先が床につかない状態です。これは、膝関節の後ろにあるハムストリングスの柔軟性がないために生じており、柔軟性が無く、硬くなっている状態を「タイト・ハムストリングス」と呼びます。これはスポーツをしない子どもでも多くいると思います。体が硬いと、膝や足などのいろいろな部位に障害を起こす可能性が高く、特に腰への影響が大きいと考えられています。

  そこで、タイト・ハムストリングスを克服するのに非常に有効なストレッチ法がジャックナイフ・ストレッチです。スポーツ医学の第一人者、西良浩一先生が推奨しているストレッチ法で、全国のいくつかの小学校でも紹介されています。ジャックナイフとは「折り畳み式ナイフ」のことで、胸と太ももをぴったりと付けて、体を半分に折り畳んだようにして、できるだけ膝を伸ばしていくストレッチです。
やり方は、まずはしゃがんで、足首をしっかりと握り、胸と太もも前面をぴったりとくっつけます。そして、その状態から、膝をできるだけ伸ばしていきましょう。その際に、胸と太ももが離れないように注意することが必要です。股関節を完全屈曲した状態で、膝を伸ばすというのが特徴です。このポジションで、膝をできる限り伸ばすように10秒間力を入れましょう。これを5セット行います。朝と夜の2回行えば効果的です。

  前屈時の指先と床の距離(いわゆる立位体前屈距離)が驚くほど改善するので、裏技と言われています。またストレッチにおいて大事なことは、毎日、続けるということです。大人にも効果があるので、腰痛の予防にみなさん試してみてください。

(寺井   智也)