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COPD(慢性閉塞性肺疾患)について

  タバコを10年以上吸った人は「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」になる心配があります。以前は、「肺気腫」といわれていた病気です。日本では500万人以上の患者がいると報告されています。患者の9割がヘビースモーカーであり、タバコを吸う人の15%がCOPDになるといわれています。

  COPDは長い時間かけて徐々に進行する病気で、主な原因がタバコであることから肺の生活習慣病とも呼ばれています。COPDのもっとも多い症状は動いた後の息切れで、何年もかけてゆっくりと悪化するため、気づかないうちに日常の活動を減らしてしまっていることがあります。咳や痰、喘鳴が見られることもあります。重症になると動いた後のめまいや動悸といった症状がみられることもあります。

   診断は肺機能検査で行い、他の病気を見つけるためにレントゲン検査やCT、心臓のエコー検査などを行うこともあります。 COPDは進行性の病気なので壊れてしまった肺を元の正常な肺に戻すことはできません。COPDの治療は禁煙が第一で、COPDの悪化を防ぐためにはもっとも重要です。症状が軽い早期に禁煙をすれば、健康な人と変わらない生活が期待できます。薬物療法は吸入薬が中心となり、有効かつ副作用も少ない治療法ですが、上手に吸入できなければ効果が発揮されないため、きちんと指導を受けて使用することが大切です。さらに包括的呼吸リハビリテーションと呼ばれる生活指導や禁煙指導、理学療法、ワクチンなどによる感染予防などといった治療を組み合わせることで、COPDの症状を軽くし病気の進行を抑えていくことになります。重症の患者さんには酸素療法や夜間のマスク式人工呼吸といった治療を行うこともあります。

   タバコを10年以上吸ったことがある人、痰が多い人、息切れが気になる人はかかりつけ医に相談しましょう。

(渡邉   彰)