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鼻血(はなぢ)

  鼻血は身近な病気で、誰でも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。鼻を打ったりして出ることが多いのですが、何もしていなくてものぼせたりするだけで出ることがあります。以前にテレビを見ていた時に番組の中で東京都では救急車の利用マナーが悪く、軽傷でも利用しているとの話がありました。その例えとして鼻血が挙げられていました。軽い鼻血の人を例にあげたものでしょうが、病院に入院して止血に何時間もかかり、さらに輸血が必要となった患者さんも経験している私にとっては気になる話でした。ただ、多くの場合は鼻から少し血がにじんで出てくる程度で、慌てて救急車を呼ぶほどの出血は稀でしょう。

  鼻血が出だすと人は上を向いて鼻から血が出てこないようにするものです。その際に首の後ろをトントンとたたく人もいます。これは血がのどに落ちていくだけで止血にはなりません。では鼻血が出たらどうすればよいのでしょうか。鼻血は鼻の中を左右に仕切る鼻中隔(びちゅうかく)という壁から出ることが多いのです。特に鼻の入口から少し奥に入った所からが多く、鼻炎などの場合では鼻をかんだりすることで粘膜が炎症を起こし、血管が拡張するため血が出やすくなるのです。まずこの場所を圧迫するのが止血に効果的です。血がでている方の小鼻をしっかり指で圧迫します。硬く筒状に丸めたティッシュを入れてから押さえるのもよいでしょう。この際に上を向く人が多いのですが、止血には逆効果です。できるだけ下を向いて鼻の中に血をためる方が早く止まります。さらに血がのどに落ちるのも防いでくれます。これで5分から10分程度安静にして止血するのを待ちます。30分以上しても止まらない、または短い時間でも多量にでるようなら、すぐに医療機関を受診しましょう。また、1回の出血が少量でも頻回に出血するような場合も受診することをお勧めします。

(佐藤   英光)