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「睡眠時無呼吸症候群」について

   睡眠時無呼吸症候群(SAS sleep apnea syndrome)は睡眠中に無呼吸を繰り返す睡眠呼吸障害で、中年男性の21%(58/275人)に認められた(2009年日本)と報告されています。昼間の強い眠気と夜間のいびき・無呼吸が特徴的な症状で、診断には睡眠中の検査が必要です。無呼吸によって低酸素血症や覚醒反応(脳波上)が引き起こされることが確認されており、さらに高血圧、不整脈、心筋梗塞などの心臓病や脳卒中、糖尿病などのメタボリック症候群への悪影響が指摘されています。また、眠眠障害によって昼間の眠気が強くなり、居眠り運転などの交通事故や産業事故のリスクが増大したり、仕事効率の低下が社会的損失(年間3兆5千億円以上)になっています。

   肥満が原因とされ、中高年に多い生活習慣病です。昼間の眠気が強い人、いびきが大きい人、無呼吸を家族がみた人はかかりつけ医に相談してみて下さい。自宅でもできる簡易検査があります。精密検査は大きな病院での入院検査が必要です。重症な人はCPAP治療(マスク治療)が有効です。夜間(睡眠中)に鼻マスクをつけて気道に空気を送り込んで陽圧にして、狭くなっている気道を広げる治療です。安全性が高く、眠気などの自覚症状を改善することが証明されており、現時点ではSASに対する最良の治療法です。メタボリックがある人は生活習慣の改善(食事療法や運動療法、節酒など)・体重減量も必要です。

   睡眠中に呼吸が止まるといわれる人、昼間の眠気が強い人、メタボリック(肥満、高血圧、高脂血症、高血糖)がある人は一度、かかりつけ医に相談しましょう。

(植田   聖也)