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ぐれた足首に注意

   このあたりでは「捻挫した」ということを「くじいた」と言いますが、子供たちは「くねった」などとも言いますね。インターネットで「捻挫・方言」とキーワードを入れて検索し、静岡では「捻挫した」ということを「ぐれた」ということを知りました。静岡の人は「石につまずいて足を捻挫してしまった」ということを「いしょーけっとばかいて足がぐれちゃった」と言うそうです。

   さて、足首の捻挫はスポーツ中や事故だけでなく、日常生活でもよく見られる外傷ですね。捻挫しても、「足首を動かせるから大丈夫」、「歩けるから大丈夫」、「骨が折れてなかったから大丈夫」という話を聞くことがありますが、全部間違いですから注意してください。

   まず、骨が折れていても関節は動かせますし、痛みを我慢すれば歩けることもあります。また、骨折が無くても靭帯が切れていることがあり、この場合は骨折よりも痛みが軽いので注意が必要です。

   では、病院にかかる目安は? 私は、腫れや皮下出血(いわゆる内出血・あおじ・あおにえ)がある場合には、骨折や靭帯損傷が起こっている可能性が高いので受診すべきだと思います。迷う時には念のため受診してください。

   「たいしたことないのに受診して…(申し訳ない)」と患者さんに言われることがありますが、そんな心配はいりません。医者も重症の怪我を見たがっているのではなく、異常がないことを祈りながら診察や検査をしており、異常がないほうが嬉しいのですから。骨折や靭帯損傷の治療は遅くなると手遅れになることもあるので、できるだけ早く受診して下さい。

   世の中には「捻挫だから大丈夫」といって放置したために、足首の不安定性(関節がグラグラすること)を残してしまい、痛みに苦しんだり捻挫を繰り返したりしている人が沢山います。古い話になりますが、アテネオリンピックの日本代表選手では、足首の不安定性を持った選手が約4分の1を占めていたと聞きました。これでは肝心なところで本来の力を発揮することができません。私ならグレてしまいそうです。

(竹本   勇治)