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愛媛県  骨粗鬆症の再骨折予防事業

現在、愛媛県医師会・愛媛大学医学部附属病院・愛媛県整形外科会・愛媛県臨床整形外科医会の4者の合同で表題の事業を行っています。

骨粗鬆症は非常に怖い病気です。骨粗鬆症による骨折を起こした人とそうでない人では、起こした人の方がその後の寿命が確実に短くなります。特に太ももの付け根が折れた場合、その1年後に10〜15%の人が亡くなっています。さらに骨折した人はその後寝たきり、要介護になる率が脳血管疾患、認知症についで3番目に多いことも分かっています。また骨粗鬆症は「沈黙の疾患」と言われており、骨折して痛みが出て初めて分かることの多い疾患です。ただ痛みのない骨折もあります。TVで「いつの間にか骨折」と流れていますが、背骨の骨粗鬆症による骨折の3分の2は痛みを伴わない骨折と言われています。ある程度の年齢の人で少し腰が痛い、でもそんなにひどくはなく少ししたら自然に痛みが取れた、という場合に実は骨折を起こしていたという可能性があります。また骨粗鬆症による骨折の特徴は「一度骨折を起こすと次々と骨折を起こす」という特徴があり、これを骨折の連鎖・ドミノ骨折と称します。ですから、まず最初の骨折を起こさないようにすることが大切です。しかし、現在日本に1280万人いると言われている骨粗鬆症の人の内、治療を受けているのは全体でわずか20%と言われており、骨訴訟症の検針が重要ですが、受診率は低いのが現状です。

そこで、骨折を起こした人が次に骨折するのを予防する目的で始めたのが表題の再骨折予防事業です。太ももの付け根を骨折した人に「再骨折予防手帳」を渡して、病院を退院した後も手帳を携帯してもらい、経過を追いながら骨粗鬆症の治療をしっかり行うという事業です。一旦骨折を起こしてからの治療率も低いという問題点もふまえての事業ということです。「骨粗鬆症は怖い病気!」ということを認識してほしいと思います。

(西本  章)