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C型慢性肝炎 −治療法の飛躍的進歩−

愛媛県は人口10万人当たりの肝癌死亡率全国トップという残念な状況になっています。そこで、原因の多くを占めるC型肝炎の基本情報と治療の飛躍的進歩についてお知らせしたいと思います。

C型肝炎ウイルスは国内で130〜150万人に感染しており、約1700倍の肝発癌率になることが知られています。たばこで肺癌(約5倍)やピロリ菌で胃癌(約6倍)にかかりやすくなることに比べ極めて高率であり、ウイルスに感染している方をいち早く発見して治療する必要があります。節目検診や入院時・術前検査などで発見に努めていますが、肝臓は沈黙の臓器といわれ、症状がほとんどないので、まさか自分が感染しているとは夢にも思わず、無関心で治療機会を逃している方が多いのが現状です。

また、C型肝炎ウイルスは肝脂肪化、肝硬変や食道静脈瘤、肝外病変として腎炎、自己免疫疾患やリンパ腫なども引き起こす厄介者です。

ずっと排除困難でしたが、1992年夢の新薬としてインターフェロン(IFN)が登場しました。しかし単独注射ではインフルエンザのような高熱や間質性肺炎など、副作用が強い割にウイルス排除効果が約30%と少なく、その後ウイルスの種類による効果の違いが判明すると、C型肝炎ウイルスの7割を占める1型は排除率5%以下のIFNが効きにくいタイプというレッテルが貼られてしまいました。その後IFN治療は改良や併用薬によって徐々に80%強まで効果が高まりましたが、IFNが使用できない方や初期の強い副作用の噂で治療を拒否する方が多く問題になっていました。

昨年からきちんと使えばIFNなしで100%近い方のウイルスを排除できる新しい飲み薬が使えるようになり、ウイルス排除で倦怠感がとれ、将来の不安が減ったと喜んでもらっています。早期の肝硬変でも治療適応です。極めて高額な薬剤ですが、本邦には肝臓学会専門医の診断による公費助成制度があり、対象範囲について月1〜2万円に治療費が減免されます。ご家族が感染している方や輸血や針治療など血液感染の機会があった方、検診で指摘された方は是非かかりつけの先生や肝臓学会専門医までお気軽にご相談ください。

(山内  一彦)