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夏の急性咽喉頭炎は怖い

病気には季節によって病状に違いがあることがあります。例えば、耳鼻咽喉科を代表する疾患である急性咽喉頭炎はのど風邪と言われ風邪症候群の一つですが、冬場にはウイルスの感染によることが多く、夏場には初めはウイルスの感染症として発症したとしても、細菌感染へ移行する場合や、初めから細菌感染として発症することが多いように思います。

紫外線の強さや、気温の高低といった環境の違いにより、身体はこれらの病原体への応答を変化させているのかもしれません。急性咽喉頭炎ではのどの痛みが強いために水分も飲めない状態で来院される人がいます。夏場には体力がある人でも、戸外で激しい運動や作業をしている人に多いように思います。のどに痛みがあると水分を控える傾向があります。加えて多くの汗をかくことで身体の水分が失われて脱水状態となります。発熱があればさらに脱水状態は進みます。空調の効いた室内でも運動をすると発汗は多くなります。

脱水状態は身体のあらゆる生理機能を低下させ、皆さんがよく耳にする熱中症と同じ病態となります。感染症に対応する抵抗力が減退し、病状が急激に悪化するものと考えます。脱水状態では前もって抗生剤をもちいていても効かない場合もあります。涼しい室内に居て、頻繁に水分を補給してください。熱が無くても唾液を飲み込む時に痛みを感じたら早急に受診してください。脱水状態があると思われる場合には点滴で水分を補給し、病状によっては入院治療が必要になることがあります。

さらに怖いのが急性喉頭蓋炎です。喉頭蓋は気管の入り口に位置して、誤嚥を防ぐ働きをしています。ここに浮腫を伴う炎症が起きると気道を閉塞することになり、緊急の気管切開が必要になります。嚥下時にのどの痛みのある人は、喉頭を診ることのできる耳鼻科を受診してください。

(八木  拓)