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介護の悩みを相談していますか?

昨年、“自宅介護をしている家族の約7割が精神的・肉体的に限界を感じたことがある”という新聞報道がありました。現在、介護保険で認定を受けている人は全国で約640万人います。ただ、介護が必要な人すべてが介護保険を利用しているとは限らないため、実際に介護をしている家族はさらに多いものと推測されます。一方で「介護は家族がするものだ」と考える方や「家族以外の人が家に来ることに抵抗がある」という方も一定おられ、そのために必要な福祉サービスが受けにくい状況にあるご家庭も少なくありません。2025年問題など超高齢化社会を目前に、家族の介護負担は以前よりさらに身近かつ深刻な問題になってきていると思われます。

また介護負担と一口にいっても、食事や入浴などの世話といった実質的な負担に加えて、介護する人自身の健康が損なわれる、精神的にストレスを感じるような負担があります。特に認知症の介護の現場では、本人の“できない”が増えて以前と変わってしまったことを家族が受け入れられない、妄想や興奮といった精神科的な問題に対応せざるを得ない苦労、軽度の認知症の場合には一見ふつうに見えるために介護者の苦労が周囲の人にかえって理解されない、といったことも大きな負担であると知られつつあります。そのため、介護に向きあう家族も専門家に相談することが推奨されています。適切な介護についての理解を得て、一人で抱え込まないような工夫を重ねることで、介護される人も家族もよりよく暮らせるようになってほしいと思います。

最近では医療機関に限らず認知症カフェや認知症サポーターといった介護する人をサポートする活動も広まってきています。“こんなことで悩んでも…” “人には相談できない”と考えず、様々な支援を利用してみてください。

(園部  直美)